インフルエンザの予防注射の判断

 

ここまでの話で、インフルエンザの予防注射を受けるかどうかについては簡単に結論が出ないと思いますが、基本的には、接種の効果をどう解釈するかが判断材料の中心となるのは間違いないでしょう。また、年齢、家族の構成、アレルギー体質についても加味することになります。

 

インフルエンザのリスクについては、特に乳幼児なら脳炎・脳症、65歳以上の人なら肺炎になるリスクが高くなっていますから、できるだけ予防接種で発症・重症化を抑えようとするのは当然です。

 

肺炎を予防するための23価肺炎球菌というワクチンもありますが、インフルエンザワクチンの接種だけでも、肺炎の重症化予防や死亡率低下の報告が複数出ています。実際に入院のリスクが半分以下に、死亡リスクも5分の1に抑えられているそうです。そんなことから、65歳以上の人などは国が強く接種を推奨する「定期接種」の対象になっています。

 

つまり、強い副反応が出たことがない人なら受けた方がよいとも言えます。ただし、特に持病もなくて健康な10代~50代については、たとえインフルエンザにかかったとしても1週間程度で回復しますから、「受けない」という選択もありです。元気な人でも受験生などは少しでも感染・発症のリスクを抑えるために接種を受けた方が無難となるでしょう。

 

接種を受けるタイミングですが、ワクチンで抗体ができてくるのは接種後2週間程度後なので、大流行が始まる12月までに接種しておけば効果的です。毎年接種が必要となるのは、効果の持続期間が5カ月程度しかないからで、更には、昨シーズンと今シーズンでワクチンは内容が異なることもあります。